校長日誌

東日本大震災に学ぶ-ジャンチブ・ガルバドラッハ校長先生のこと-

2013年3月12日 07時59分

 平成25年3月11日が過ぎました。東日本大震災が発生して、2年が過ぎました。昨日午後2時46分には黙祷を捧げました。被災地及び被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復旧・復興をお祈り申し上げます。
当時のことが思い出されます。定時制生徒会誌(Voice第63号)に掲げた文章を下記に掲げます。

 校長原稿①                         東日本大震災に学ぶ
                           校長 大津 清

 平成23年3月11日(金)に東日本大震災が発生して甚大な被害を受けた。被災地及び被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
 忘れられないことがある。モンゴル国ウランバートル市にある新モンゴル高校校長のジャンチブ・ガルバドラッハ先生のことである。
 3月13日(日)に校長先生は震災を見舞う下記のメールを米山記念奨学会に寄せている。

 今回の大地震および津波の影響がみなさんご自身やご家族のみなさんに及ん
でいないことを祈っております。被害にあわれた方々に心からお悔やみを申し
上げたいです。
 今回は本当に大変な事態になって、大きくショックを受け、心がすごく痛み
ました。勤勉で親切な日本の国民、中でも私の第二の故郷である東北の皆さん
がこのような大災害に巻き込まれ、人命が失われ、これまで創造してきた生活
が崩れ落ちているのをみて、この2日間はいても立ってもいられない思いでお
りました。夜中も一睡もできずにテレビの画面を凝視してきました。できるこ
とならその場からすぐに日本へと飛び出して、自分にできるかぎり尽力したい
と思ってきました。
 他方で救助や救援、復旧に取り掛かっている日本人の皆様の迅速な対応力と
和の精神をこの2日間感じることができたので、今まで以上に日本人を誇りに
思う気持ちでいっぱいになりました。これからいち早く多くの方が救助されて
、被害が最小限に治まることを心から祈っております。私たち家族みんなでこ
の二日間は祈りをささげ続けてきました、これからも続けます。
 私たちにできることは何かと一生懸命に考えています、これからできること
が出てきたら全力で当たりたいと心準備はできています。何かあれば、私たち
にご提示していただければうれしいです。よろしくお願いいたします。
 それでは、みなさんもこれからの生活の安全に十分にご注意ください。私に
できることがあれば何でもご指摘ください。
ジャンチブ・ガルバドラッハおよびその家族より心を込めて
2011.03.13     3月13日
          (ロータリークラブ米山記念奨学会ホームページより)

 そして、3月23日(水)に、お世話になった宮城県名取市が大きな被害を受けたことを知り、心を痛めて何と義援金120万円とモンゴルの絨毯50枚(総重量200キロ以上)の救援物資を持って見舞いに来日した。
 その折りに樽石大学(山形県村山市)に立ち寄られたので歓迎会を行い、校長先生の話を直接伺った。校長先生は「危険だから日本には行かないように」という周囲の声を振り切って、一人で見舞いにきた。義援金はモンゴル高校在校生、保護者、卒業生、市民からのものであるということであった。モンゴルの物価は1/10ぐらいなので、相当な金額になるにちがいない。
 モンゴルから救援の手を差し伸べているのに、隣県に住みながら、一体自分は何をしているのか。はがゆさを感じるとともに先生の素晴らしい行動に深く感動した。
 千年に一度といわれる東日本大震災に遭遇し、私たちは、何を学ぶべきなのか。そして自分にできることは何であろうか。
 一つには、エネルギーを大切にし、絆を深めて思いやりを持つこと。
 二つには、被災者の方々に自分のできる救援の手を差し伸べること。
 そして、誰もができること。それは、被災者の方々に心を寄せ、今の自分の務めを果たすために全力を尽くして努力を積み重ね、一日一日を大切にして精一杯生きていくことである。あたりまえと思っていた毎日がいかに貴重なものであることか。
 米工生よ、何を学ぶべきか、何ができるかよく考えて、実行して欲しい。今年一年良い年であるように祈らずにはいられない。
 あらた  とし  はじ   はつはる きょうふ ゆき     し よごと
 
新しき 年の始めの 初春の 今日降る雪の いや重け吉事
「新しい年の初めの今日の降る雪のように、良いことが重なるように」の意。「万葉集」の最後の歌である。さまざまな困難に遭遇していた大伴家持の祈りである。                            平成24年1月20日記
「Voice第63号(定時制生徒会誌)、平成24年3月3日発行より」